続き3

○BC
最強馬生産と密接な関係にあるのがBCのバランス。史上最高のバランスと謳われた99やWinの東京2000と比べると、64のバランスは決して最高とは言えず、むしろ長距離の大逃げ天国や圧倒的な内枠有利、一番人気の不利などまともにBCを開催することすら不可能な有様でした。その状況を何とかして打ち破ろうと様々な場所でBCのルールが設定され、複数戦における枠順ローテーションや完全ランダムなど試行錯誤の末に辿り着いた現状があります。現在、64界で最も人気を誇るのが異父9対異父9等の勝負。生半可な生産量では引くことの出来ない64のBC馬をなんと9頭も揃え、脚質も逃げから先行、差し、追込をフル活用した上で勝負する参戦するだけでも大変なBCが人気の理由は、それだけBCの文化が成熟し、それだけのハードルを乗り越えて勝負出来る人達が64界に少なからず居ることに他なりません。特に脚質をフルで活用出来るという部分はそれまでの作品と比べてもエポックメイキング的作品と呼んでも差し支えありません。
BCが生まれた2からWinに至るまで最強の脚質はほぼ逃げ一択。97では東京2000から短距離において先行が使えたりが使えたりしますが、差し追込の出番は全く無く脚質の自由は殆ど無いと言ってよく、Winや99においては「大逃げ」のシステムが生まれ大逃げで無ければ勝負にならない時代が訪れました。そんなダビスタのBCが64では一気にバランス調整され、安定した脚質は何と追込に。大逃げは多頭数になると潰し合いを行い恐ろしい勢いで逆噴射してしまうなど、それまでの作品に親しんできた人にとっては信じられない光景が繰り広げられました。ただそれを糞バランスと評す方々が多く見られたことも事実で、通常のゲーム内でタイキシャトルが圧倒的一番人気にもかかわらず全く勝つことが出来ないバランスをクソゲーと呼ぶことは仕方の無いことでしょう。とはいえ、BCにおいてはそのバランスが大逃げだけでなく脚質の多様性を認めたことは事実。有る一定の条件を課すことによって、BCが恐ろしく自由度の高い遊び方が出来るようになったのです。
ですが、その一方でWinまでで人気のあった個人戦の勝負が衰退したことも64のバランスの影響でしょう。元々、軍団戦における異父4BCなど97の競馬王から人気に火がつき、99やWinにおいてその人気を不動のものとしました。64でも、個人戦のバランスの悪さの一方で、団体戦は人気であり続けたことが皮肉にも個人戦のガチンコ勝負の場が失われていったと言えます。当初より普通に開催することが難しい64の個人BCでしたが、呉BCにおいてふじぐる氏が一つのルールを設定したことによりそれがデファクトスタンダードとなりました。
「大逃げペースメーカー(オシッコソムリエ)を大外に配置、1,2枠にダミーの差し馬(ロロロコ等)を配置」
今でも定番と呼ばれる「呉条件(呉ルール)」です。それまでまともに勝負することさえ難しかった64のBCにおいてこのルールは画期的なものでした。少なくとも、このルールの設定によりある一定基準のBCが開催されることにより、このルールで強い馬=最強馬という認識が広まっていくことになります。それにより呉条件が圧倒的に広まり、逆にこのルールで無いものが少なくなってしまいました。そうなると、新しい発想の個人BCが生まれることが無くなり新しい条件の模索が停滞していったことも否めません。
当時では完璧と思われ特に問題も無く開催されていたこのルールも、馬のレベルの上昇に従い次第に粗が目立つようになってきました。が、当時そこまでのレベル上昇を予期することは難しかったことを考えると仕方のないことでしょう。もし、呉条件以外の個人BCが他に多数あったのであればその時点でルールが見直されたり、他のルールが主流になるきっかけがあったかも知れませんが、いかんせん呉条件が当たり前になり過ぎてそれ以上の発展が生まれなかったこと、また時代は64が最先端でなかったため議論が発生しなかったことは皮肉でしょうか。また他に0001氏のWBCなど個人BCで呉ルールに寄らないものもありますが、そのルールの設定条件が難解であったり、処理手順が複雑であったりなどシンプルに設定出来る呉条件以上のルールは見つかっていません。そう考えると、これからも64界において呉条件は「ベスト」ではないものの「ベター」な存在であり続けるのでしょう。

現在、1頭だけで参加出来る64のBCは新作祭を除いて皆無と言ってよく、元々ハードルが高い64界のハードルが更に高くなっています。個人戦、軍団戦問わず、また様々な条件で勝負出来る場が広がれば良いなと一ユーザーとして淡い望みを抱いています。