親父の背中

「これそしろ」って強制された記憶がないんです。
ラグビーも進学も就職も、いつも事後報告でしたが、
「おお、そうか」って。それが、おやじでした。
元来が体育会系です。元高校球児で、野球で飯を食えるレベルだったそうです。
上背は176センチ。
キャッチボールでたまに本気で投げる球は、ビュッと速くて捕れるもんじゃなかった。
でも、安定した道を選んだのでしょう。
大阪でバットのメーカーに勤めました

息子に野球させたい気持ちはあったと思います。
名前の「克」の字は、好きな野村克也さんから取ったくらいですから。

僕は小学5年に上がる時、少年野球チームをやめてしまった。
指導者とけんかして。頭ごなしのやり方が頭に来てのことなんですが、
おやじは「しゃあないな」と怒りもしなかった。がっかりしたとは思うんですよ。
でも自分の夢を押しつけたりしない。子供も大人も互いに独立した人格なんだ――。
そんな考えが通っていたんじゃないすか。